Hospital Up Diary

新人医療事務のプチ勉強会

【療養費の支給】支給種類と委任代行支払い制度について

 

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健康保険に加入していれば、医療がすべて窓口で割り引いてくれるわけではありません。通常医療費は会計窓口で3割負担や1割負担の「自己負担額」のみを支払います。しかし、医療費の中には会計窓口ではなく、自己申請で返ってくるお金もあります( `ー´)ノ 病院は申請の案内をしてあげないといけないと思いますし、患者はしっかりと仕組みを理解して利用していく必要があるでしょう('◇')ゞ

 

療養費支給とは

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健康保険の医療費の支給方法は2種類に分けられます。「現物支給(療養の支給)」と「療養費の支給」です。現物支給は病院の会計窓口で自己負担分を自動的に計算されて、自己負担分のみを支払う方法です。通常はこの方法ですね('◇')ゞ

もう一つの療養費の支給ですが、これは会計窓口で全額負担をし、後から給付金を申請する方法になります。療養費の申請は有効期限があるため、給付が受けられる医療を受けた場合はすぐに申請して給付金を受け取りましょう( `ー´)ノ

 

療養費の支給を受けられる医療の種類

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〇高額医療費 

高額医療費は一定以上の高額な医療費がかかった場合に適応になります。医療費の上限は収入によって変わりますので、割引率は人によって変わります。現物支給を受ける方法もあり「限度額適応認定証」を事前発行することで窓口支払いの負担を軽減できます。詳しくは「高額医療費の利用方法」

 

〇はり・灸

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病院で医師が「妥当な治療手段がなく、治療効果がこれ以上認められない」と判断した場合に適応になります。医師の同意書があれば健康保険適応で施術を受ける事が可能です。同意は6ヶ月毎に必要になります。

大切なことは、妥当な治療手段がない→施術支給を認めるという流れです。もちろん治療手段がない訳なので、その疾患では病院での治療や薬は保険給付を受けられなくなります病院と鍼灸院での保険併用はできません( `ー´)ノ 適応症は以下です。

・神経痛 ・リウマチ ・頚腕症候群 ・五十肩 ・腰痛 ・頸椎捻挫後遺症

※委任代行支払い制度により現物支給を受けることもできます。

 

〇柔道整復(整骨院接骨院

柔道整復師が施術を行った場合でも健康保険が適応になることがあります。

適応は以下です。

・急性外傷性骨折 ・脱臼 ・捻挫 ・打撲 ・肉離れなど

骨折・脱臼は応急処置を除き、現に医師が治療している場合は医師の同意が必要)

非適応→日常生活による疲労や肩こり、腰痛やスポーツによる筋肉痛など

※委任代行支払い制度により現物支給を受けることもできます。

 

〇あん摩・マッサージ

鍼灸同様に医師の同意が必要で、同意は6ヶ月ごとに必要になります。

筋麻痺や関節拘縮などの症状があり、関節可動域や筋力増強の症状改善を目的としたものに適応されます。疲労回復や慰安目的のマッサージは適応外です。

鍼灸とことなり、病院での治療や薬も引き続き健康保険を適応することができます。

※委任代行支払い制度により現物支給を受けることもできます。

 

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〇治療用装具

いわゆる「コルセット」や「カラー」などが挙げられます。支給要件は「治療に必要」「定められた方法によりオーダーメイドで制作」「保険診療」が挙げられます。簡易なベルトタイプのものなどは、健康保険点数「固定帯加算」が適応となり、現金給付をするものがあります。ゴツイ装具は療養費の支給の対象となることが多いです。適当な表現でごめんなさい( ;∀;)

対象外となるものは、スポーツ・リハビリ目的、美容など治療を目的としないものが挙げられます。

ちなみにギプスなどは違いますよ('◇')ゞギプスは保険点数に掲載があるため、現物支給となります。

 

〇輸血用生血

通常輸血は保存血を使用します。保存血を使用する場合は保険点数に準じて現物支給を受けます。保存血がどうしてもない場合(これがほとんど考えられません)、生血を提供してもらい、提供者に血液代を支払います。この支払金額は療養費の支給対象となります。親族の場合は請求できません。レアケースですので、覚えなくてもいいくらいかもです(+_+)

 

〇海外での治療費

やむを得ない理由が必要です。「診療内容明細書」「領収証」「渡航先や期間が分かるもの」「パスポート」「申請書類」を合わせて提出します。日本語訳にする必要がある保険者もあり、その場合は翻訳者の証明も必要になります。

支給の必要性を認めれば、診療内容を保険点数に照らし合わせて支給額を決定します。領収内容がすべて3割負担等になる訳ではありません。

 

〇その他

保険者により健康保険の適応の幅がことなります。上記は法律で療養費の支給を義務付けられた法定給付になります。保険者ごとに独自の給付(任意給付)で色々な保障がありますので、自身の保険者のウェブサイトをみると面白いかもしれません。

 

委任代行支払いについて

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本来「療養費の支給」ですが、「現物支給」のように対応してもらえる制度になります。療養費の支給で自身で保険者に申請する所を施術所に代行して請求してもらうことで、窓口負担を自己負担金のみで対応してくれます。そのためには施術所に「療養費請求の委任状」を提出する必要があります。

あとは矢印の流れになります。鍼灸院や接骨院さんがこれをやってくれるかは、そこの施術所によりますので一度問合せて聞いてみるもの良いかもしれません。

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委任代行支払いにはいくつか方法があります。その中でも「受領委任契約」をしている施術所があります。これは施術所や施術団体が委任代行をしますよと協定や契約をしている状態であれば、患者からの委任状がなくても現物支給として取り扱えるシステムとなっている( ゚Д゚) 患者からすれば余分な手続きがなくて楽ちんですね('ω')

これにより施術所の不正請求がないように、この契約をしている所は定期的に行政から監査を受けています。

 

 

いろいろルールがあってめんどくさいですよね(+_+) しかし!申請して返ってくるお金るなら申請しなければ。保険証に書いてある保険者のウェブサイトにアクセスすれば申請書類はダウンロードできますし、病院の事務さんに聞けば答えてくれると思いますので不安な時はお尋ねしてみましょう。

知りたい事や分からない点は分かりやすく表現していきたいと思います。是非コメントよろしくお願いします。

 

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