Hospital Up Diary

新人医療事務のプチ勉強会

【必ず】活用しよう!高額医療費制度の利用方法①〈基礎編〉

 

f:id:Hospital-UP:20190730193124j:plain
一度は耳にしたことのある高額医療費制度。実際「どんな時」「どのくらい」「どうやって」利用できるのか?そんな方に必見です。入院や高額治療が分かっている場合は【必ず】利用しましょう( ゚Д゚)!

 

高額医療費制度とは

 f:id:Hospital-UP:20190728203056j:plain

健康保険給付の一覧

 そもそも健康保険制度のサービスのひとつです。なので、何らかの健康保険に加入していないと使えません。健康保険診療でない美容系の医療では使用できない制度となります。健康保険制度についてはこちらをご覧ください。

f:id:Hospital-UP:20190730204919j:plain

医療費は医療保険でカバーされている部分と自己負担分によって構成されています。ほとんどの方は自己負担分は3割です。しかし、医療費全体が高額になると、その3割ですらかなりの額になってしまいます。そこで、高額な医療になった場合に限り自己負担分を軽減させる制度が【高額医療費制度】になります。そのままですね( *´艸`)

特に入院の時に使用しますが、外来でも使用はできます。そこまで外来で高額になることはないので入院の時に気にすれば良いと思います('◇')ゞ

 

いくら安くなるのか?

f:id:Hospital-UP:20190730205724p:plain

出典:厚生労働省資料

では、実際いくら安くなるの?というのが現実的な疑問で最も重要なことでしょう。その割引率は年収によって変わります。①~➄の段階に分かれ、通常ア・イ・ウ・エ・オと表現されます。真ん中の列が計算式ですが…複雑ですね( ;∀;)

 ③ウの方の場合 医療費100万円とすると 

   通常(3割負担):1,000,000×0.3=300,000円の負担

   高額医療費制度 :80,100+(1,000,000-267,000)×1%=87,430円

   差額=212,570円お得

となります。だいたい頭の料金(ア=252,600、イ=167,400、ウ=80,100円)がベースとなり、それ以上料金が上がりにくいシステムになっています。この数字だけ覚えておけば支払い金額は分かります。

これは月単位での支払い上限になるため、月が替わると計算式もリセットされます。例えば、月またぎの入院は料金が割増になる可能性があるので、可能であれば当月内で退院できればgood!です( ゚Д゚)

 

高額医療費制度の対象外となるもの

 残念ながら対象外のものがあります。【健康保険診療対象外】のものです。

自由診療(美容医療等)

・文書代(診断書等)

・個室代

・病衣等のアメニティグッズ

・TV代や電気使用料

・食事(入院中の食事料金は保険適応ですが、高額医療費からは除外されます)

などと、「医療費」以外の付加的な項目は対象外となりますので注意を!!

 

高額医療費制度の申請方法

 高額医療費の申請窓口は保険者健康保険組合)です。各会社の事務担当の方や保険証に書かれている組合のホームページでも申請用紙を取り寄せる事ができます。国民健康保険の方は各市町村役場の窓口になります。

申請方法には2種類あります。事前申請」と「事後申請」になります

1:事前申請【限度額適応認定証】 

f:id:Hospital-UP:20190730214918j:plain

限度額適応認定証を保険者へ申請することにより、認定証が発行されます。これに、患者さんの「ア~オ」の限度額区分が記載されています。保険証と一緒に認定証を病院へ提示すると、病院側が高額医療費を計算して窓口請求を減らしてくれるシステムです。

これは、すでに医療費が高額になることが想定されている方が対象となります。事前に入院や頻回の通院が必要と分かっている方は、【限度額適応認定証】を事前手続きをしましょう。だいたい発行には1週間程度かかります。もし、証明証が間に合わず病院での手続きができなかった場合は「事後申請」が可能です。有効期限があるので注意しましょう('◇')ゞ

【参考】全国健康保険協会協会けんぽ)ウェブサイト:限度額適応認定証申請

 

2:事後申請【高額医療費支給】f:id:Hospital-UP:20190801081858j:plain

 前述の認定証がない場合、病院が患者さんの限度額区分が分からないため高額になろうと、通常料金で請求が発生します。ここは患者さんが一旦支払いを行います。領収証を合わせて、【高額医療費支給申請】を行うと高額医療費負担分が戻ってきます

このシステムは認定証が間に合わない時や、その月の【合算】により結果的に高額医療費支給の対象となった時に申請するものになります。支給には審査が必要なため、時間がかかるケースがありますが、2~3か月くらいで支給されるでしょう。

申請有効期限は2年間になります。金銭的な負担もあるため、早めに申請しましょうね('◇')ゞ

【参考】全国健康保険協会協会けんぽ)ウェブサイト:高額医療費支給申請

 

高齢者(70歳以上)の高額医療費制度

f:id:Hospital-UP:20190801084559j:plain

 

70歳以上の方(65歳以上の障害者)は高齢者の限度額計算の対象となります。

高齢者の方は一般の健康保険・国民保険と違い独自の計算式を持っています。そのため、70歳未満の方と高額医療の取り扱いが異なるため注意が必要です( ゚Д゚)!

f:id:Hospital-UP:20190806201356j:plain

高齢者の高額利用費一覧

計算方法は独自ですが、捉え方は一般の方と一緒です。大体の上限は頭の80,100円等の金額を頭打ちとして、そこからはあまり増えていきません(月単位)。大きく違う所は病院で自動的に計算される点です。前述の通り、病院窓口で適応させる場合は認定証の提出が必要でしたが、高齢者は病院窓口で自動的に適応されます

これにも落とし穴が!保険証で確認できる区分は2種類「現役並み3割」「一般1割」のみです。3割の方は「現役Ⅲ」を1割の方は「一般」の項目で自動計算されます。しかし、3割の方で「現役Ⅱ」「現役Ⅰ」・1割の方で「区分Ⅱ」「区分Ⅰ」の方がみえます。そういう方は限度額認定証の発行や高額医療費の申請対象となります。

親切なのか、ややこしいのかわからないですね( ;∀;) 年収で思い当たる方がいましたら、市町村役所(広域連合会等)へ問い合わせてみるといいでしょう。

【参考】厚生労働省後期高齢者広域連合ページ(連合ページで各都道府県へ)

高齢者高額医療負担額は平成30年8月が最終改訂となっています。(R1.8月現在)多々のウェブサイトでは旧式の案内の所も少なくありませんので注意しましょう。

 

その他(公費の併用・多数該当・世帯合算等)

 他にも高額医療費制度を使う上で、複雑な事情がある方もみえると思います。公費制度を利用している方、高額医療を長期で使用する方、家族で高額医療を使用する方など。様々なパターンに合わせてより深く以下にまとめます。

【必ず】活用しよう!高額医療費制度の利用方法②(ただいま作成中)

 

 

ともかく、高額医療費制度は保険診療の時に安くなる」と覚えていただければ、あとは病院さんやインターネットでも申請方法は分かります。こんな制度があるということだけ覚えておけば「いざ」と言うときに役に立つと思いますよ( `ー´)ノ

 

東京都後期高齢者医療広域連合ウェブサイト

全国健康保険協会ウェブサイト

ナツメ社 わかりやすい公費負担の知識

保険医協会 公費負担医療等の手引き