Hospital Up Diary

新人医療事務のプチ勉強会

【労災保険】基本と窓口対応①

 

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はくさ…労災保険は「労働者災害補償保険」と法律で定められた保険制度です。

第1条 労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかつた労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もつて労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。

引用:労働者災害補償保険法第1条

今回は窓口業務において最低限必要であろう労災の知識についてお話していと思います ^^) _旦~~

 

労働者災害補償保険制度とは

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前述の通り、労働者に対して労働中に起きた疾病に関しての保証制度となります。

2013年10月1日より業務・通勤災害は一般の健康保険では原則として適応されないことが明文化されました。(健康保険法第1条国民健康保険法第56条)。業務・通勤中の事故・ケガ・疾病・障害・死亡の場合は労災が優先適応となるんですね。

 

特に、労災には「業務災害」と「通勤災害」に大きく分類されます。窓口で労災の場合は「通勤中によるものですか?」と聞くことを習慣づけることがポイントです。

通勤災害は職場から家と往復経路が多いと思われますが、その間に日常生活上やむ得ない行動により規定経路外であっても認められるケースがあります。例:独身者が帰路の途中でスーパーによって食品を購入した後に規定通勤経路で負傷した場合など。

参考:厚生労働省 通勤災害について

 

他にも特殊な例として、「業務災害と通勤災害が同時に発生」した場合の取り扱いです。実際に経験したことはないですが、先輩の経験談より

事例:通勤中に足を負傷しました。これは通勤災害として労災扱いとなりましたが、引き続き業務中に段差でつまづいてしまい手首を負傷してしまいました。

トホホな事例ですが、労災上では足の負傷と手首の負傷は別の疾病として取り扱うため、労災様式も業務災害・通勤災害とそれぞれ必要になりました。レセ請求は診療料など同一でかかるものは主たる病名の方で算定することになりました。

 

他にもいろいろなパターンがあると思いますが、判断に迷った場合は管轄の労働基準監督署に問い合わせて指示を受けると良いです。

 

労災で必要な書類について

 

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健康保険の場合は健康保険証。生活保護医療扶助の場合は医療券。など労災の場合も労災に取り扱うために必要な書類(病院提出書類)があります。たくさん種類がありますが、今回は比較的頻度の高いものを抜粋しました。

各種様式のダウンロード

 厚生労働省ホームページ 労災保険給付関係請求書等ダウンロード

 

 

初めて医療機関を受診する場合

 5号様式を提出してもらいます。(通勤災害の場合は16号の3)

記入が出来ているかをチェックして受け取りましょう。会社証明欄がありますが、退職していて未記入の場合は、患者さんに会社名と退職日を記入していただくと良いでしょう。在職中で会社が災害を認めていない場合に会社欄が記入されていないというパターンもありますが、処理方法は労基へ連絡して取り扱うのが良いでしょう。

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様式5号 見本

 

病院を変える場合(労災を他の病院で受診している場合)

 6号様式を提出してもらいます。(通勤災害の場合は16号の4)

医療機関からの転院の場合は、自身の医療機関が初めての受診でも様式5号ではなく、6号の回収をしなくてはいけません。あくまで転院に当たるのはクリニックや病院などの「医療機関」からの引き続きになります。鍼灸院や接骨院などは医療機関に当たらないため、施術を受けていても様式6号ではなく、様式5号となります。ご注意を。

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様式6号 見本

 

休業補償をもらう場合

 8号様式を提出してもらいます。(通勤災害の場合は16号の6)

これは健康保険で言う「傷病手当金」のイメージでOKです。若干異なる点もありますが、労災疾病で仕事を休み給与所得が無くなった(少なくなった)場合に給付される給与保証のような制度です。休業した期間を確認してお預かりしましょう。もちろん、将来日の証明はできないため、将来日が含まれていれば患者さんへ記入がまだできないことも説明が必要ですね。

傷病手当金意見書交付料のように休業補償証明書料としてレセ請求するため、文書料による本人負担はありません。

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様式8号 見本

 

障害補償をもらう場合

 10号様式を提出してもらいます。

一定の後遺障害が残った場合にその等級に応じて給付を受けれるため、記入を依頼されます。医療機関は10号用紙には「診断書のとおり」と記載があるように、別途診断書様式を用いて現在の後遺障害の詳記を行います

診断書料金は患者さんから4000円を直接徴収します。患者さんは後から申請すると文書料が戻ってきます。一部、労働局では文書料が医療機関からレセ請求できる地域もあるのでチェックが必要です。

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様式10号 見本

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障害補償請求申請用 診断書 見本

 

償還の請求する場合

 7号様式を提出してもらいます。(通勤災害の場合は16号の5)

 

非労災指定病院で一度窓口で支払った診療費を労基署へ請求する際に、様式7号を用いて行います。

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他にも、健康保険で前に診療を受けたことが労災適応と後から判断され、健康保険診療で支払った費用を労基署へ請求する際にも必要になります。

健康保険診療と同じく治療装具なども一度支払ってもらい、様式7号で患者さんから請求をしてもらいます。

 7号の種類として(1)通常(2)薬局用(3)柔道整復師用(4)はりきゅう用(5)訪問介護用と用途別に存在します。

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様式7号(1) 見本


受付で記憶しておくべき書類は以上になりますが、また様式書類説明の記事を載せたいと思います。今回はライトな感じで覚えておくものをおさらいしましたよ。

 

労災保険】基本と窓口対応②へ つづく