【労災保険】休業補償給付の内容や気を付けるポイント
労災保険には様々なサービスがあります。
健康保険での傷病手当金と同じような給付制度が労災保険にもありますが、それが「休業補償給付・休業給付」になります。給与保証の側面がある制度のため、患者さんにとっては治療と同じようにとても大切なものになります。
病院サイドで取り扱いについてはしっかりと理解しておきましょうね。
休業補償給付・休業給付とは
傷病の治療のために、仕事が出来ずに給与がない(少ない)場合に一定の給付を受けることができます。給与保証なのです。
休業補償給付と休業給付の違い
業務中の労働災害=「業務災害」 通勤中の労働災害=「通勤災害」と言います。
業務災害の場合は「休業補償給付」、通勤災害の場合は「休業給付」となります。やや給付内容に差がありますが、ほぼ一緒です。もう一緒と覚えてもらっても大丈夫だと思います。
労働者が、業務または通勤が原因となった負傷や疾病による療養のため労働することができず、そのために賃金を受けていないとき、その第4日目から休業補償給付(業務災害の場合)または休業給付(通勤災害の場合)が支給されます。
様式も8号と16号の6と書類の違いがあることもしっかりと覚えておきましょう。
休業(補償)給付を受ける条件
①業務上の事由または通勤による負傷や疾病による療養のため、②労働することができないため、③賃金を受けていない、という3要件を満たす場合に、その第4日目から支給されます。
①療養の必要性があったこと!
②労働が出来ないこと!
③賃金を受けていないこと!
④待期期間(3日間)を明けていること!
①~④をクリアすると支給開始となります。待期期間の補償については、業務災害と通勤災害で若干ルールが異なります。が、医療機関ではあまり関係はありません。
休業(補償)給付でいくらもらえるのか
支給金額は「給付基礎日額」と言うのが基準となります。直近3ヶ月の平均所得でその6割が支給されるような感じになります。
給料の6割を保障してくれる制度になります。
休業(補償)給付っていつまでもらえるのか
健康保険の傷病手当金は1年6ヶ月と期限に決まりがありますが、休業(補償)給付には期限の決まりはありません。よく勘違いしやすいところなので注意しましょう。
しかし、上記①~④の給付条件に当てはまらなくなる可能性があるので通常は支給が長期間に及ぶことはありません。もし重症・重度のため支給が長期間に及ぶ場合は傷病年金に切り替わることが考えられます。
傷病年金は治療開始から1年6ヶ月後も治療の必要性がある場合に、等級を審査します。傷病年金の等級に該当すれば休業(補償)給付を終了し、傷病年金に切り替わります。
もちろん、給付条件を満たし傷病年金等級に該当しない場合は休業(補償)給付を受給し続けることとなります。
ちなみに申請の事項は存在します。
休業(補償)給付は、療養のため労働することができないため賃金を受けない日ごとに請求権が発生します。その翌日から2年を経過すると、時効により請求権が消滅しますのでご注意ください。
申請用紙(労災様式)の流れと注意点
イラストの通りですが、①会社の証明(休んだよー・給与ないよー)②病院の証明(療養・治療の必要があったよー)の記入が必要です。①と②は順番はどちらでもOKです。
その申請用紙を③労働基準監督署へ提出します。支給審査の結果、受給できるという流れに成します。
健康保険の傷病手当金と同じように、休業(補償)給付の請求は事後申請となります。
「休んだから給付してください」というものになります。よって、将来日・未来日の申請は出来ません。
当たり前ですが、患者さんはよく分からず〇月〇日~〇月〇日まで証明してくださいと持参されます。受け取り手もよく分からないまま処理してしまうと大変なことになります。証明日は必ず過去日になるまで証明してはいけません。
そういった書類は、持参された時にお預かり書類にする、また過去日になったときに再度持参してもらう、遠方の患者さんで書類だけのために来院できない場合は郵送で対応するなど、色々なパターンがあります。患者さんの利便性や書類保管の重要性、診療の進捗性などを総合的に判断して事前に院内ルールを定めておく必要があるでしょう。
新人医療事務さんはまずはこういったルールを覚えておきましょう。
簡単ではありますが、労災の休業(補償)給付になります。
分かりずらい所や、こういったことが知りたいなどありましたらコメントやお問い合わせをお願いします。