精神障害者医療費助成制度【マル精】について
- 精神障害者医療費助成制度とは
- 対象者と受給者証
- 対象疾患の確認
- 他都道府県での取り扱い
- 地方単独医療費助成制度のおさらい
- マル精の自治体による取り扱いの違い
- 精神障害者医療費助成制度と自立支援医療の併用 など
地方単独医療費助成制度のひとつに「精神障害者医療費助成制度」があります。
精神障害者の助成制度は「自立支援医療」「精神福祉保健法(入院制度」「心身障害者医療費助成制度」など多岐に渡り、取り扱う側も複雑な状態をなっています。
新人職員がつまづく公費負担でもあるのでしっかりとチェックしておきたいですね。
精神障害者医療費助成制度とは
市区町村を単位に地方が独自に行っている医療費助成制度のひとつです。
その自治体が認める対象者に対して「マル精」の受給者証が交付されます。原則、健康保険を適応させた自己負担分を助成してくれるため、医療費の自己負担が無料になります。
詳細な取り扱いは各自治体により異なるため、ホームページなどで必ず確認しましょう。
今回は愛知県下の市町村を例に勉強をしていきたいと思います。
対象者と受給者証
くどいようですが、対象者は地方自治体により異なります。概ね精神障害者保健福祉手帳や自立支援医療受給者証が目安となっています。
そして一定の障害があると認められた場合は医療費助成の必須アイテムの受給者証が交付されます。この時に〇に精の字が当てられていることから「マル精」と呼んでします。
対象となるのは、市内に住所を有し、国民健康保険または社会保険等のいずれかの健康保険に加入している次の方です。
- 自立支援医療受給者証(精神通院)をお持ちの方
- 精神障害者保健福祉手帳(1級または2級)をお持ちの方
注1) 子ども医療費助成制度、心身障害者医療費助成制度、母子家庭等医療費助成制度または後期高齢者医療制度の対象となる方は除かれます。
引用 愛知県蒲郡市ホームページ
平成31年7月現在の愛知県下にある市町村がマル精の対象としている条件と、助成内容をまとめた表があるためリンクを参考にしてください。複雑過ぎて患者さんへの説明が大変。。。
愛知県 市町村の精神障害者医療費助成制度一覧
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/302002.pdf
対象疾患の確認
受給者証には①対象疾患がある場合と②全疾患対象の場合があります。加えて③通院のみ有効なども存在するため、制度自体は心身障害者医療費助成制度と類似していますが、受給者証でそのところをしっかりと確認する必要があります。
確認方法は一番上の段のマル精の横に対象疾患がある場合はその内容を、全疾患対象の場合はそのように記載されています。
必ず有効期限もあるため、ここの要チェックです。
他都道府県での取り扱い
地方単独医療費助成制度は住所の都道府県のみで窓口使用ができます。
愛知県在住の場合は愛知県内の医療機関であれば窓口が無料となります。そのほかの都道府県に受診した場合は、窓口で支払いを行い、市役所へ払戻の手続きを行い助成金を受け取ります。
自立支援医療受給者証をお持ちの方
愛知県内での受診
医療機関の窓口に、精神障害者医療費受給者証(うす紫色)、自立支援医療受給者証(精神通院)、自己負担上限額管理票および健康保険証を提示すると、保険診療による自立支援医療の自己負担分(1割)が助成されます。
愛知県外での受診
精神障害者医療費受給者証(うす紫色)は使えません。医療機関窓口ではいったん自己負担分(1割)を支払い、後日、申請して払い戻しを受けます。
引用 愛知県蒲郡市ホームページ
自立支援医療の勉強がまだの方はこちら(自立支援医療制度について)
払い戻しを受けるには
次のものを持参のうえ、市役所保険年金課福祉医療後期高齢者担当まで手続きにお越しください。
引用 愛知県蒲郡市ホームページ
地方単独医療費助成制度のおさらい
地方が医療助成する制度はいくつかありますが、原則的な取り扱いは一緒ですのでおさらいです。いわゆる福祉医療、マル乳(子)、マル障、マル母(親)、マル精などがあります。イラストのようになっていますが、基本的には「自治体により異なる」「県外病院では窓口利用できない」「給付に上限がある可能性がある」という事です。
そして医療費助成内容も同じのため、複数の制度を受けることは基本的にはありません。その時の優先順位もイラストの通りですが、これも自治体により若干異なるようです。
マル精の自治体による取り扱いの違い
愛知県下での例です。
マル精は受給者番号が900001のように9からスタートします。マル精の中にはマル自やマル神などと表現する自治体もありますが、法別登録はマル精になります。愛知県一宮市はマル障(心身障害者医療費助成制度)の表現があるにも関わらず、受給者番号が9スタートの者はマル精で取り扱うようになっています。
マル障は受給者番号は500001のように5からスタートします。マル精と表記があるものがありますが、受給者番号が5スタートの場合はマル障の法別登録が必要になります。これらはマル精で全疾病対象者がマル精5スタートとなるようです。
このように自治体により取り扱いが複雑なため、自身の医療機関の都道府県下の自治体をすべて把握しておくのがオススメですよ。一覧表があると便利ですね。
精神障害者医療費助成制度と自立支援医療の併用 など
公費医療制度の中で精神障害者に関わる医療制度や持病にかかわる医療制度が複数存在します。各々の医療制度の趣旨は違いますが、複数に該当する場合があるため、併用を取り扱う可能性があります。
原則として、公費併用の手順として①健康保険→②国の公費制度→③地方助成の順位で適応して処理をします。
例【マル精と自立支援医療制度との併用】
①ますは健康保険を利用し、3割の自己負担となります。
②3割の自己負担から自立支援医療制度を利用し、1割の自己負担となります。
③1割の自己負担からマル障を利用し、自己負担0円となります。
POINT:自立支援医療の自己負担上限管理票がある場合は、マル精を適応する前の医療費を記載すること。自立支援医療には「軽症高額・高額長期」など医療助成のルールがあるため、自己負担0円でも医療費の記載をしなければいけません。
「マル精で自己負担0円になるなら自立支援医療はいらないのでは?」と思いませんか。
どうやら公費の財源的な問題があるようです。公費の支出が国か自治体かで負担する側は大きな違いがあります。自治体は国の制度で支出が少なくなれば、もちろん負担軽減に繋がります。マル精で自立支援利用対象者は自治体から案内される可能性が高いですね。
病院としては手続きが複雑になるので、出来る事なら一元化してほしいものです。
自立支援医療との併用はあるあるパターンになると思われるため、よかったら他公費も以下で復習してみてください。